タイトルからも予想がつくとは思いますが、今日は半分ほど駄文です(が、真面目な話もちょっとします)、お付き合いくださる方だけどうぞ。
当診療所では、患者様が少ない時間帯を狙って、1日1回のもぐもぐタイムが設けられています。
そのもぐもぐタイムの度に、いつもトイレ(大)に行きたくなる。
お菓子も結構食べるしなぁ、なんて思っていました。
しかし、最近自分がカフェインに弱い体質だと気がつきました。
自分の体のことは意外と知らないもんです。
夜中に7回目が覚め、次の日辛いので・・・
ある日、興奮したのか娘が夜中に7回も目覚めてしまいました。その日も朝から普通に診療があるのですが、当直で忙しかった日みたいに体がだるいし眠い・・・。
『そうだ、とりあえず手元にある栄養ドリンクを飲んで(精神的に)元気になろう。』
喉も渇いていたので、栄養ドリンクをとりあえず3本飲みました。
めっちゃ下痢になりました。
飲んだ栄養ドリンクの1本あたりの無水カフェインの量は50mgでしたので、150mgを一気に摂取したようです。しかしこれはいわゆるRe●bullなんかのエナジードリンク1本分に当たるカフェイン量。
これまでエナジードリンクなるものを飲んだことがなかったのでわかりませんでしたが、おそらく自分は多分エナジードリンクを1本飲むと下痢になる体質なのでしょう。
カフェインの作用とは
カフェインの良い作用として一般的に知られているものとして
「眠気や疲労感の軽減」
があると思います。
しかしその他にも色々な作用があり、カフェイン中毒の軽症〜重症の症状も併せて記載すると、
- 胃酸分泌の促進
- 胃蠕動運動の促進
- 食欲不振
- 嘔気、嘔吐
- 利尿促進
- 血圧の変動
- 不整脈の誘発(VPC、QT延長、難治性VFなど)
- 電解質異常(低K血症、低Ca血症)
- 高血糖
- 不安、不眠、不穏、興奮
- 発熱
- 頻呼吸
- 痙攣
など多岐にわたり、心肺停止となり死亡した例もあります。
急性カフェイン中毒の話
急性カフェイン中毒で若者が急逝したニュースはまだ記憶に新しいかと思います。日本中毒学会の報告では、2011年度からの5年間で101人が搬送され、うち3人が死亡しているという現状です。10年ほど前は年間10名程度であったとの報告もありますので、近年増加傾向にあるようです(アメリカでは年間4000例のカフェイン中毒例があるそうですが汗)。
カフェインの致死量の見解はまだ一致していないようですが、内服量としては約5〜10g、150〜200mg/kg、血中濃度としては70〜80mg/L、あるいは100mg/Lと報告されているものもあります。
カフェイン摂取量はどのくらいまで安全か
健常人であれば、1回あたりの摂取量が200mg、1日摂取量が500mg以内であれば問題は生じていないと言われています(自分は150mgで下痢になりましたが)。また、激しい運動を行う場合には注意が必要で、その2時間以上前にカフェイン単回摂取量が約200mgまでであれば問題はないようです。
その他諸々の要素を考慮すると、1日当たり300mg(5mg/kg)以内に留めて摂取するようにすれば、問題なく有益効果(疲労感の減少、アルコール酩酊の軽減、)を受けることができると報告している論文もあります。
具体的な数字で言えば、コーヒーに換算すると、コンビニのコーヒーMサイズで1日あたり10〜30杯で成人の中毒量、50〜500杯で致死量に相当する計算になります。こんなに飲めませんし、飲んだらいけません。
さいごに
有益になる可能性があるカフェインですが、やはり適量を守って摂取することが大切のようです(月並みな意見)。
自分はめっちゃ下痢になるので、もっと気をつけようと思いました。
以下、諸々の文献など参考にさせて頂きました。
・公益財団法人 日本中毒情報センター
・日本中毒学会HP
・「致死的大量服薬から救命し得た急性カフェイン中毒の2例」
佐藤 孝幸、中川 隆雄、仁科 雅良、須賀 弘泰、高橋 春樹 、出口 善純、小林 尊志
JJAAM 2009;20:941-7
・「眠気予防薬の多量服用によるカフェイン中毒の2例」
北村 淳、宮部 浩道、植西 憲達、加納 秀記、平川 昭彦、原 克子、小宮山 豊、山中 克郎、武山 直志
JJSEM 2014;17:711-5
・「日常生活の中におけるカフェイン摂取 -作用機序と安全性評価-」
栗原 久
東京福祉大学・大学院紀要 第6巻 第2号(Bulletin of Tokyo University and Graduate School of Social Welfare) pp109-125 (2016,3)
・「コーヒー摂取が胃運動及び自律神経活動に与える効果の検討」
種村 一識,松永 哲郎,山崎 英恵,李子帆
城尾 恵里奈,足達 哲也,近藤 高史,津田 謹輔
・「カフェイン中毒を起こす4大機序を押さえる(研修医最前線)」
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