神戸や名古屋、大阪など日本各地の港で散見されてしまうようになったヒアリ。連日テレビのニュースになっており、世間を騒がせています。攻撃性が強く、毎年死亡例もでていることから、環境省からも注意喚起がなされており、港の近くの保育園では児童の散歩を中止している、など世間への影響も少なからずありそうです。私としても小さな子供を持つ親として、子供を外で思いっきり遊ばせたい反面、アリに咬まれて危ないんじゃないかと心配な気持ちもあります。
今回はそんなヒアリについて治療法も含めて調べてみました。
ヒアリの生態
ヒアリ(別名アカヒアリ)は、漢字で「火蟻」と表され、刺されると火傷のような激しい痛みが生じます。赤茶色の小型のアリで、腹部は濃く黒っぽい赤色。体調は2.5〜6mmと大きさに婆らつきがあり、土でアリ塚を作って住むこともヒアリの特徴です。毒性が強く、毒針で刺されるとアレルギー反応により死に至ることもあります。
環境省HPより引用
一般人が見ただけでは、なかなか他の蟻とは区別がつかないようです。他の蟻と比べた特徴としては、蟻塚を作ること。
日本古来種で蟻塚をつくるタイプはいないようで、アリ塚をみたら近づかないようにしましょう。
ヒアリに刺された場合の症状・治療法
ヒアリの毒は、アルカイド毒であるソレノプシンの他、ハチ毒との共通成分であるホスホリパーゼやヒアルロニダーゼが含まれるとのことです。そのため、ハチ咬傷の既往がある人は症状がでやすいです。
刺された直後は、蟻とは思えないほどの激痛が走ったり、熱いと感じたりすることが多く、次第に刺された部分に痛みやかゆみがでてくるようです。半日もすると虫刺されの膿がでてきます。
少し症状が強くなると、残された部分から腫れが広がり、全身に盛り上がったかゆみを伴う蕁麻疹が出てきます。
重症になると、蕁麻疹だけでなく、呼吸困難感、血圧低下、意識障害を伴います。
とあります。
医療者の方はピンとくるかと思いますが、要は「アナフィラキシー症状」がメインとなるようです。ハチ咬傷の治療法に準じて、重症度に気をつけながら治療を行えばよいわけで、私が勤めるような小さな病院でも対応できそうです。すこしホッとしました。症状に応じて、アドレナリン筋注、抗ヒスタミン薬の投与、ステロイドの投与、β2刺激薬の投与を行います。私はちょっとでも重篤感を感じたら迷わずアドレナリン投与をするよう気をつけています。
ヒアリの駆除方法
では、実際にヒアリを見つけた場合はどうしたらよいのでしょうか。
まず地方環境事務所などに通報するようにと厚生省HPには記載されており、下記のようにまとめてありました。
1.熱湯をかける
即効性○ 実効性×
熱湯を巣穴とその周辺にかけます。
直接かかる範囲の蟻には効果がありますが、アリ塚の深部にいる蟻には効きません。
2.液剤をまく
即効性○ 実効性△
市販の液体洗剤をアリ塚にまくことのようです。自分で巻くよりは専門業者による高圧散布の方が効果が高いようです。洗剤のついた蟻が他のありと接触して効果をもたらすとのことです。
3.ベイト剤を設置する
即効性△ 実効性◎
蟻の毒餌を日蟻の行列内や酢の周辺に設置します。時間はかかりますが、一番確実に駆除できるようです。
まとめ
以上、ヒアリについてのまとめでした。
アメリカ在住のDrの話では、確かに刺されると蟻とは思えないほどの痛みがあり、複数さされると靴がはけないほど足がパンパンに腫れるようです。
ただ印象として重症アナフィラキシーや死亡例が多いというわけでないようで、公園などにも当然のようにいるけども、アメリカ人は特に気に留めることなく子供を遊ばせているとのことです。
ちょっと怖いですけど、確かに日本でも蜂が近くにでる可能性があるからといって花畑にまったく近づかないわけではないですもんね。
その方曰く、大事なのは「巣をみつけたら近づかないこと」だそうです。長ズボン、靴を着用していても巣を踏みつければ即座に複数の蟻が衣服の中まで入り込み、何度も刺すそうです。
やっぱりちょっと怖いですけどね。なにごとも予防が大切なようです。
ヒアリが気になる方は環境省HPをご確認していただくといいかもしれません。