僻地で陸マイラーの忘備録

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地域医療にて勤務中の総合診療医夫婦の日頃思ったこと、マイル、診療、子育てなどつれづれなるままに書くブログ

“僻地で陸マイラーの忘備録”

「モダン・カンポウ クリニカルパール集&総合医の実体験」を読んでみた

今日は比較的外来患者さんが少なかったので、流し読みではありますが1冊読むことができました。

 

「スーパー★ジェネラリストに必要なモダン・カンポウ

 クリニカル・パール集&総合医の実体験

 

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いかにも怪しげな表紙。裏表紙はもっと怪しげです。

 

(※でも内容は怪しくありませんほんとごめんなさい)

 

もちろんハピタス堂書店さんから購入しました。 

www.hekichi-miler.com

 

 

 

漢方薬はすごく難しい。まず名前が難しい。

牛車腎気丸とか絶対読めへんやん、と思っていました。

 

でも、実際に西洋薬ではすっきり解決できない問題を抱えた患者さんを診るようになって、漢方薬の必要性をひしひしと感じ、日々勉強を続けています。

 

 ローレンス・ティアニー先生の

「COPD患者にばち指を認めたら、胸部CTスキャンを撮りなさい、肺癌が診断である」

といった、クリニカルパールがありますが、この本にも漢方薬のクリニカルパールが記載されています。

 

その中の一つに、

「漢方をラムネ感覚で使用することは大切なメッセージの1つだ。しかし、ラムネよりも明らかに効いていると実感することがある。そんな症例を是非共有しよう。総合診療医の中での共有財産にするのだ」

このクリニカルパールが印象的でした。 

 

漢方薬は因果関係がはっきりしないものが多いです。中には臨床研究によりはっきり解明されているものもありますが、ごく僅かです。

因果関係がはっきりしている西洋薬を中心に学んでいると、因果関係のはっきりしない漢方薬が胡散臭いものに思えてなりません。でも、実際に処方してみて効果がある、自分で飲んでみて効果がある、と実感することも多いのも事実です。本当に不思議です。

 

 

この本には、クリニカルパールが21個記載された後に、「食欲不振」「冷え性」などといった症候別に処方例が記載されています。それぞれ実際の症例も交えて記載されているので、とてもわかりやすいです。

 

この本を入り口として読んだ後にモダン・カンポウのシリーズ本を読んでみると、それぞれの漢方に含まれる生薬の成分、組み合わせなどについても理解が深まります。

 

 

最後に、この本を読んで印象的だったワンフレーズを記載して終わります。

 

プライマリケアに携わる医師の間で、以下のような格言があります。

「プライマリケアは、手を抜こうと思えば、そう難しくなくできるが、質を高めようとすれば、その奥の深さには限りがない。」

確かに、高血圧や高脂血症など、検査結果や合併症のリスクを考慮して薬を調整して処方していけば、外来診療は特別な工夫は不要とも一見感じますが、患者さんやその家族がその時困っている症状や生活の問題点を聴き出し、それらの解決方法を、医学的だけでなく、心理的や社会的な側面からも探っていくのには、「これで十分」という段階はなかなか訪れません。

 

 

 

うーん、なかなか身につまされる言葉です・・・。

日々精進しようと思います。