「下駄履き骨折」という骨折を聞かれたことがあるでしょうか。
その昔、下駄を履いていてくじいた時に起きやすい骨折だったのでその名を付けられたそうです。
正式名称は第5中足骨基部骨折です。
もちろん下駄を履いていなくても、裸足や靴を履いた状態で強く捻挫をすると受傷することがあります。
また、スポーツなどで繰り返すストレスでも第5中足骨やや骨幹部よりに「Jones骨折」と呼ばれる疲労骨折を起こすことがあります。
※骨折治療学会より引用
今回はこの第5中足骨骨折の保存治療についてまとめたいと思います。
第5中足骨基部骨折の分類
第5中足骨の血行動態の特徴として、
基部に近い部分は血流が豊富だが骨幹部に近づくにつれて栄養血管が減る
という点が重要となります。
すなわち
骨幹部に近くなるにつれて偽関節のリスクが高くなるわけです。
なので、下の写真のように骨折領域を分けて治療方針を考えます。
Zone1の治療(結節部骨折)
短腓骨筋腱の牽引力による剥離骨折で生じます。結節部から1.5cmの領域です。先ほども記載したように血流は比較的保たれていますので、基本的に予後が良く、保存治療にても適しています。
手術適応は「2mm以上の転位か30%以上の関節面を含む骨片の転位」となります。
保存治療は、外固定は不要で、痛みに応じて荷重可能です。足関節の内外反の予防(アンクルサポーターの作成)や、爪先立ちをしないように気をつける必要があります。
Zone2の治療(Jones骨折)
真のJones骨折はここに分類されます。
癒合遅延が起こりやすい場所です。
初発の急性期であれば保存治療を選択できますが、
過去にも骨折や疼痛の既往があったり、髄腔内骨硬化像・仮骨などがみられると手術療法も検討しなければなりません。
こちらの保存治療は最低6週間短下肢キャストによる固定を行い、免荷が必要になります。
Zone3の治療(疲労骨折)
サッカー少年などのスポーツをされている方が起こしやすい部位の骨折です。
Zone2と同じく、骨癒合が得られにくいため手術を選択することが多いです。
また、本人が気付かなかっただけで再骨折を繰り返している例もあります。
こちらも保存治療は最低6週間短下肢キャストによる固定を行い、免荷が必要になります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
同じような部位の骨折でもこれだけ治療方針が異なります。
足の外側の痛みが主訴の方が来られたら鑑別の一つとして考えてみましょう。