基節骨・中手骨骨折の保存的治療として「ナックルキャスト」があります。
基節骨骨折や中手骨骨折の治療において広く知れ渡っている方法です。
下記図のような感じです。
(※画像は他サイトさんから拝借させていただきました)
MP関節を70-90°屈曲位にしてそれ以上は伸展できないように手背側はギプスによる覆いを作ります。PIP関節・DIP関節はフリーにしてどんどん動かしてもらいます。
基節骨骨折や、中手骨頸部骨折などに対しておこないますが、PIPを屈曲させる運動によってligament taxis(腱の牽引力で整復されること)が生じるかつ、拘縮予防にもなるというとても理にかなったギプス固定方です。
ギプス固定の際のコツ
MP関節背側の下巻きは厚みをもたせるようにした方がよいです。また、ギプス固定の際、患者さんには手関節を背屈位で維持してもらうようにするのがコツです。
固定中痛みがでると、どうしても手関節を屈曲位にしてしまいがちになります。
それを防ぐために最初の言葉かけが大事です。
治療において大事なこと
中手骨骨折を治療する上で大事なのは、
・MP関節拘縮をおこさないこと
・回旋変形を起こさないこと
・腱拘縮を起こさないこと
になります。
それぞれについて解説していきます。
・MP関節拘縮をおこさないこと
MP関節がちゃんと屈曲位を取れているか、固定後のX線(側面像)で確認します。MP関節は伸展位の状態では側副靭帯が緩んだままになりますので、拘縮が起きやすいです。屈曲位では側副靭帯は緊張したままで維持できます。
・回旋変形を起こさないこと
回旋変形をきたすと、クロスフィンガーといって指同士が重なって、手の機能低下になります。ギプス固定時に指同士が重なっていないか注意が必要です。
・腱拘縮を起こさないこと
患者さんにしっかり自分でリハビリを行うように指導しましょう
<問題点>
2−5指を固定すると、ピンチ動作(親指と人差し指で挟んだりすること)ができなくなるので日常生活が不便になります。なので、第4、5指の中手骨骨折の場合は第2、3MP関節はフリーにしてもいいんじゃないかという意見もあります。
あとはコンプライアンスの問題として、あまりの不便さに自分でギプスカットしてしまう患者さんもいるとのことでした。
恥ずかしながら私の患者さんの中にも勝手に外された経験があります。
きちんと理解してもらうことが大事なのかなと思います。
まとめ
以上、ナックルキャストについてのまとめでした。
大体4週ぐらいの固定が望ましいようです。
ナックルキャストは単骨折でも複数骨折でも適応があえば治療として使えます。
(本数が多いと、その分転位のリスクも高いですが、、、)
保存でいけそうな時は治療法の一つとして、考えたいですね。
適応さえ間違えなければとてもいい保存療法と言えます。
自分の忘備録も兼ねて記載させていただきました。