僻地で陸マイラーの忘備録

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地域医療にて勤務中の総合診療医夫婦の日頃思ったこと、マイル、診療、子育てなどつれづれなるままに書くブログ

“僻地で陸マイラーの忘備録”

インフルエンザは漢方薬(補中益気湯)で予防できるか?

そろそろ10月。

インフルエンザの予防接種シーズンになってきました。

今年のインフルエンザワクチンの生産が追いついているとか追いついていないとか・・・

ワクチンの仕入れの時期ですので、色々な情報を耳にします。

 

今日は、インフルエンザは漢方薬で予防できるか?という話です。

 

 

 

疲労回復に、「補中益気湯」

漢方薬といえば、

風邪の時は葛根湯小青竜湯

お腹の脂肪が気になる時には防風通聖散など、手軽に薬局で手に入るものが増えていますよね。

 

私も最近、お気に入りの漢方が2種類あります。

1つは、天気が悪くて頭が痛くなった時の「五苓散」

もう1つは、疲れた時に「補中益気湯」です。

 

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補中益気湯は、ツムラさんのデータでは4番目に売れている漢方になります。

構成成分はオウギ、ソウジュツ、ニンジン、トウキ、サイコ、タイソウ、チンピ、甘草、ショウマ、ショウキョウです。

補中益気湯は、急性期・慢性期の免疫栄養機能の改善に寄与するとの論文も発表されています。

(鈴木淳一、他 Ptog Med.2002,22,p1362-1363   佐々木紗貴、他 漢方医学.12014,38(4),p263-266)

 

この補中益気湯を飲むことで、インフルエンザを予防することができるのか検討した論文が発表されているので、内容を見てみようと思います。

 

 

 

インフルエンザ予防と補中益気湯

2009年の論文で、(8年前で古めの論文ではありますが・・・)東京の1医療機関にて行われた前向き単施設オープン試験で、新型インフルエンザ(H1N1)の予防における補中益気湯の有効性と安全性を評価したものです。

この論文は『British Medical Journal』誌にも掲載され、2010年の日本内科学会総会・年次講演会では優秀15演題に選ばれました。

 

 

論文内容は以下の通り。

 

対象者を、補中益気湯5.0g/日(分2)を内服しない群(179名)内服する群(179名)にわけ、最大8週間投与しました。

 

服薬時に薬の苦味が気になり服薬できない人、下痢や倦怠感、浮腫などの違和感が出現した人が14人おり服薬を中止しましたが、その他103名が4週間の服薬を行い、62名が8週間の服薬を行いました。

 

補中益気湯を内服しなかった群では合計7名(3.9%)がインフルエンザに罹患し、内服した群(服薬中止例+4週間服薬例+8週間服薬例)では合計1名(0.6%)がインフルエンザに罹患しました。

 

ちなみに、補中益気湯を服薬した人のうち、インフルエンザに罹患したのは4週間服薬した人。

苦味や違和感などで服薬中止した人は、その後もインフルエンザに感染しなかったことから、すでに十分に体力があった人だと推測できるとのこと。

 

補中益気湯の内服をすることで、インフルエンザの予防に一定の効果はありそうです。

 

 

 

さいごに

個人的に、補中益気湯は甘くて飲みやすいです。

娘は1歳半になりそうですが、まだ夜に何回か起きるので、

慢性的な睡眠不足状態であり、朝起きるのが結構しんどいので飲んだりしてます。

バタバタして飲み忘れることも多いのですが、

本当にしんどい時には2包飲んでドーピング(?)したりします。 

・・・そんな日でも元気に外来が出来るので、効いてそうではあります。

 

 

だんだん寒くなってきます。皆様体調にはお気をつけください。

 

 

<参考文献>

  • 新型インフルエンザに関する補中益気湯による予防効果 Niimi M :B ritish Medical Journal Online 2009
  • 鈴木淳一、他 Ptog Med.2002,22,p1362-1363
  • 佐々木紗貴、他 漢方医学.12014,38(4),p263-266
  • 医療スタッフのための漢方薬がわかる本 北島政樹監修

 

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www.hekichi-miler.com