僻地で陸マイラーの忘備録

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地域医療にて勤務中の総合診療医夫婦の日頃思ったこと、マイル、診療、子育てなどつれづれなるままに書くブログ

“僻地で陸マイラーの忘備録”

いきむと脳梗塞になる?〜頑固な便秘にご用心〜

もうすぐ1歳半になる娘。

朝起きた時や食後に、

 

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娘「・・・ウ・ンッ・・・・・フンッ・・・」

 

私(・・・おー、今日も元気にいきんでおるな・・・。)

 

 

 

・・・今日は、いきみと脳卒中についての話です。

 

 

 

トイレで起きる病気

救急搬送されてくる患者さん。

家の中でのイベントが起きる場所としては、

ベッド(から落ちた)、階段(から落ちた)、夜中に起きて廊下で転んだ、風呂場で転倒した・・・

そして

 

トイレ

 

です。

 

トイレ、意外といろんなイベントが起きます。

埼玉県所沢市における、トイレで発症した救急搬送症例を解析した論文があります。

 

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鼻血、低体温、消化管出血、起立性低血圧、心血管系のイベントなどがありますが、多いものは

脳血管系のイベント(脳塞栓症、TIA、くも膜下出血、脳出血)

になります。

その中でも明らかにくも膜下出血や脳出血といった、血圧の上昇に起因する疾患ではなく、脳梗塞やTIAといった血圧の低下に起因する疾患が多くなっています。

いきむと、実感としては血圧が上がるように思いますし、出血系のイベントの方が起きやすい気がするのですが、なぜ血圧の低下に起因する疾患が多いのでしょうか?

 

 

いきむと脳塞栓症が起こりやすい理由

いきむ=バルサルバ法を行う

 

バルサルバ法とは、PSTVの患者などに使用する一種の理学療法のようなもので、迷走神経刺激の方法です。

簡単に言うと

「息を止めてしばらくこらえる」

です。

 

 

バルサルバ法をすると一時的に血圧は上昇しますが、その後胸腔内圧が上昇することにより静脈還流量が減少し、その結果血圧が低下します。

バルサルバ法を解除すると、また血圧は再上昇し、その後血圧低下と徐脈が出現します。

この時、心房内などに血栓がある場合、血流がバキューム的に流れることにより血栓が剥がれて頭に飛んでいきやすくなると言われています。

 

 

うぃき●でぃあにはこう書いてあります。

「循環器系の疾患を持った人は、バルサルバ法で死に至ることもある」

・・・確かに、機序を知れば納得できます。

 

 

 

いきまなくていいようにするには?

いきまなくていいようにするには、

「排便の状況を整える」ことが大切です。

 

経験的に気づいている方も多いと思いますが、排便をする時、洋式よりも和式の方が出やすいと思いませんか?

・・・私はそうです(爆)

 

和式トイレで排便したり、洋式トイレであっても前傾姿勢をとるようにしたりすることで、解剖学的にかなり用が足し易くなります。

 

便そのものの性状を整えることも大切です(水分を多めにとる、食物繊維豊富な食事をとる、などは巷で言われておりますので割愛します・・・。)

でも、それでもやはり出ない人は出ない。

その時には、市販薬を「乱用」するのではなく病院へご相談されることをお勧めします。

 

(もちろん、一時的に市販薬を使用するのは否としません。機序的にも悪くないお薬がたくさんあります。しかし長期にわたり漫然と使用するのは多少問題があります)。

 

今は色々、病院で処方できるいい薬も増えてますよ。

 

 

 

<参考文献>

  • 柳川洋一ほか 日本救急医学会雑誌 15(11):587-592,2004
  • Kollef MF,Schachter DT: Chest.99(2):373-376,1991
  • うぃき●でぃあ