2018年は診療報酬改定の年です。
今回の診療報酬改定では、オンライン診療報酬のアップや、地域包括ケア病棟の入院費用アップなど注目すべき点は色々ありますが、
この記事では向精神病薬の長期投与に伴う診療報酬の改定についてお話させていただこうかと思います。
- 向精神病薬(ベンゾジアゼピン)について
- 減点対象① 12ヶ月以上の同一処方
- 減点対象② 向精神病薬の多剤処方
- 向精神薬調整連携加算(12点)
- 具体的にはどれくらい診療報酬が下げられるのか
- ベンゾジアゼピン系の減量方法について
- まとめ
向精神病薬(ベンゾジアゼピン)について
睡眠薬や抗不安薬として処方されることの多い薬です。
比較的多くの患者さまが、飲んでいらっしゃるのではと思います。
私は精神科医ではありませんので、詳細な説明については割愛させていただきますが、ベンゾジアゼピン系のお薬は漫然と内服し続けると抵抗性ができてどんどん効かなくなる印象です。
精神科での研修病院でも決して推奨はしていませんでした。ただ必要に応じて処方すべきところはあるのでしょうが、漫然と長期投与はやはり推奨できないのだろうなと思います。
最近ではベンゾジアゼピンの長期投与は推奨されないような風潮が広く浸透してきてはいる印象ですが、このことをあまり知らずに漫然と処方され続けているケースも少なくないのではないでしょうか。
今回の診療改定で、そこにメスがはいったようなので、自分の解釈も含めて記事にさせていただきます。
減点対象① 12ヶ月以上の同一処方
不安や不眠の症状に対して、12月以上、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬・睡眠薬を長期処方している場合の処方量、処方箋料金が改定されました。
向精神病薬(ベンゾジアゼピン系)の薬を1年以上にわたって、同一成分の同一の1日あたり用量で連続処方している
ケースが減点の対象となります。
少しでも用量調整を行なっていれば減点を免れることができるようです。
ただ、どの薬が減点対象となるかの品目についてまでは現時点では公表されていません。
ベンゾジアゼピンの中のいずれかなのでしょうが、はっきり明示されていないとわかりにくいですね。
とりあえずベンゾ系はこちらのリンクから確認できます。
ただし、以下に該当する医師は減点が免れます。
・1年以内精神科医からの助言を得ている場合
・不安or不眠に関する適切な研修を修了した医師
・精神科薬物療法に関する適切な研修を修了した医師
が処方する文に関しては減点から除外されるようです。
減点対象② 向精神病薬の多剤処方
とりあえず、いっぺんにたくさん出すなってことが言いたいようです。
1回の処方で、3種類以上の向精神病薬の処方が減点対象となります。
・抗不安薬を3種類以上
・睡眠薬を3種類以上
・抗うつ薬を3種類以上
・抗精神病薬を3種類以上
または
・抗不安薬と睡眠薬をあわせて4種類以上(今回新規!!)
が対象となります。
減点対象①と比べてこちらの減点の方が大きい
です。これまでは同一種類3種類以上ができませんでしたが、今回からは全部で4種類以上処方はしにくくなります。
向精神薬調整連携加算(12点)
こちらはうまく減量などができていたら、加点します
といったものです。
向精神病薬の多剤処方の状態にあった患者に対して、
薬を減量した方に、看護師や薬剤師から症状の変化の確認などを行なった場合、
月に1回 12点加算ができるようです。
減量して観察していますという記録を残せばよいのでしょうか。。。
具体的にはどれくらい診療報酬が下げられるのか
処方料
もともとの点数が 42点
減点対象①の場合 29点に
減点対象②の場合 18点まで減点されます
処方箋料
もともとの点数が 68点
減点対象①の場合 40点
減点対象②の場合 28点にまで減点されます
薬剤料
減点対象②の場合、所定点数の100分の80に相当する点数に減らされるとのことです。
ベンゾジアゼピン系の減量方法について
ベンゾジアゼピンの減量が必要になったとしても、急に中止すると離脱症状がでることもあるので減量も慎重に行う必要があると思います。
減量の方法としては
アシュトンマニュアル アシュトン教授(メインページ)
なども参考になるようです。
また、こちらの睡眠薬の適正使用に関してはこちらのガイドラインも参考になるかと思います。
こちらのガイドラインの中で睡眠薬適正処方のアルゴリズムがありましたので、引用させていただきます。
表として見やすいので重宝しています。
まとめ
以上、ベンゾジアゼピン長期投与の診療報酬改定まとめでした。
今回のまとめには、ちょっと事実と異なる説明をしてしまっている部分があるかもしれません。概ね合っているとは思いますが。。。
もし間違っているところがありましたら、ご教示いただければ幸いです。
うっかり減点されないように注意していきましょう。