僻地で陸マイラーの忘備録

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地域医療にて勤務中の総合診療医夫婦の日頃思ったこと、マイル、診療、子育てなどつれづれなるままに書くブログ

“僻地で陸マイラーの忘備録”

トラムセットを実際に内服してみた感想〜処方経験も踏まえての今後の考察〜

トラムセット

トラマドール塩酸塩・アセトアミノフェンの配合錠で、日本では一錠につきトラマドール 37.5mgとアセトアミノフェン 325 mgを含有する配合錠です。

 

この薬の特徴としては、非がん性の疼痛にも使える弱オピオイドである点です。これまでオピオイドはがん患者に限られていましたので、良性疾患の鎮痛に使用が許可された初めてのオピオイド製剤になります。

 

適応として、非がん性慢性疼痛症として、

慢性腰痛症や変形性膝関節症、関節リウマチや帯状疱疹後神経痛

などあるので、患者さんの状態に応じて処方してきました。

 

「痛みが半分以下になった」と喜んでくださる方

「めまいがでたからすぐやめました」と言われる方

患者さんによって反応は様々ですが、効果がある人には著効する印象です。

 

今回、自分の抜歯にあたってトラムセットを実際に内服してみましたので、その経験を踏まえて色々考察していきたいと思います。

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トラムセットの薬理作用機序

トラマドールは脊髄後角のオピオイドμ受容体を刺激することで侵害刺激伝達が抑える作用と、下行性痛覚抑制系を活性化する作用を持ち合わせています。

 μ受容体はオピオイド受容体の中でも強い鎮痛作用と関係しています。

 下行性痛覚抑制系では、セロトニンやノルアドレナリンを活性化させることによって痛みを抑える作用が働きます。

 

簡単に言うと、トラムセット自体に抗炎症作用はほとんどなく、中枢側に働きかけて痛みを感じにくくする作用にて痛みを緩和することができます。

 

主な使用方法

先ほども記載しましたが、

適応は

非がん性慢性疼痛

抜歯後疼痛

になります。

最大投与量は1日8錠で、投与量が多くなる場合肝機能障害に注意が必要です。

副作用

主だった副作用としては

悪心・便秘・傾眠

があります。オピオイドならほぼみられる副作用です。

そのため、制吐剤や便秘薬を開始時に処方することが推奨されています。

悪心・嘔吐に関しては体が慣れるまでの1週間程度、制吐剤を併用するとよいです。

 

業者さんからの話では、

・車酔いしやすい人

・タバコを吸う人

・女性

が副作用が比較的でやすい人の特徴とのことでした。

 

実際に内服してみた

抜歯後同日より1日3回で内服開始してみました。

制吐剤を併用しての内服です。

ちなみに私は車酔いしやすい方なので、副作用が出るリスクは少し高めです。

 

内服開始30分くらい経過すると、徐々に痛みが和らいできました。

あくまで個人の感想なんですが、NSAIDsより鎮痛作用が得られやすいかもしれません。ほとんど痛みを感じなくなりました。

副作用にあるような吐き気はありませんでした。

体感的には、効果は6〜8時間続きます。

思い切って1回2錠飲んでみた

夕食時に鎮痛剤を内服すると、どうしても明朝明け方には薬の効果が切れます。

なので、4時や5時に痛みで目が覚めてしまいます。

痛みで目が覚めると気分が悪いので、思い切って2錠飲んでみました。

 

しかし、、、結果として翌朝後悔することになります。。。

 2錠飲んだ結果、翌朝からふらつきがとまらない

翌朝目が覚めた後から、なんとなく体のふらつきを自覚しました。

頭がぼーっとしてスイッチが入らない感じ。

仕事も集中できないものの、午前中はなんとか乗り切り、昼は横になって休みました。

午後は徐々に効果もきれてきたので、元気を取り戻しました。

投与量調整は考えなければと身を持って実感した次第です。

 

また、トラムセット内服中で他に気づいたこともあります。

トラムセット内服中は車に酔いやすい・・・かも

※あくまで個人的見解です。

トラムセット1錠は、私にとっては除痛も得られる適量だったので、継続的に内服しておりました。

そんなある日、久々に車の後部座席に座ったところすぐに車酔いしてしまいました。

久々にかなり車酔いしました。

確かに車酔いしやすい人は、副作用がでやすいとのことでしたので、そういうことかもしれません。

また他にも

オピオイドでは必発の便秘になりやすい

元々便秘ではありませんが、便の回数は減った気がします。

困るほどではないですが。。。

 

 

以上体験談です。

上記を踏まえて今回トラムセットについて考えてみました。

 

総合的にみるといい薬

 使用してみて思いますが、除痛効果はしっかり得られます。

 NSAIDsにあるような腎機能障害や消化管潰瘍などのリスクもないため、肝機能障害に気をつければ長期投与も検討していい薬と考えます。そういった意味で慢性疼痛にはオススメしていい薬かなとは思います。

眠気・ふらつきの対策として

 トラマール製剤は体が慣れるまでは制吐剤との併用が推奨されています。これは併用した方がいいでしょう。特に上記のような副作用発生のリスクがある方は併用をオススメします。

 また、眠前投与から開始するとよりいいかもしれません。その方が副作用を自覚しにくいですし。

日中分も処方するときは患者さんにリスク説明を

 私の経験としては上記のような副作用を自覚されることがあるので、車を運転する方や、酔いやすい方には一応この話はした方が親切かなとは思います。

 効果は期待できるため、身体が慣れてきたら副作用は減るので頑張って飲んでみてください、という一言があるといいかもしれません。

 1回2錠だすのは、、、患者さんの希望があればかな。。。

最後に

私はトラムセットのまわしものではありませんが(笑)

とてもいい薬だとは思います。

薬に副作用はつきものなので、患者さんの状態をみて、合いそうな方には処方していこうかなと思います。