冬になると悩まされることも多い「しもやけ」。
中学校の時、冷えた体育館にしばらく座っていて両足がしもやけになり、激しい痛みのため全く歩けなくなって病院におんぶされて行ったことがあります。
(待合室の患者さんから「何事・・・!?」って感じで見られました)
今日は「しもやけ」について、そこに隠れているかもしれない別の疾患の話も交えた、しもやけの治療のまとめです。
しもやけ(凍瘡)とは
しもやけとは、気温5〜10℃ほどの寒冷刺激によって生じる皮膚障害のことで、局所の血管収縮で生じる浮腫や紅斑のことを指します。
好発部位としては手、手の指、足、足の指に多く、次いで耳たぶ、頰によく見られます。
極寒の中・・・ではなく、初冬や初春に生じやすく、発生要因は遺伝的要素も絡んでいるとされています。
それ、ただのしもやけでしょうか?
しもやけにも、ただのしもやけと、「別の疾患の一症状として現れているしもやけ」とがあります。
「別の疾患の一症状として現れているしもやけ」の疾患とは、SLE(全身性エリテマトーデス)、強皮症、シェーグレン症候群などのいわゆる膠原病を指します。
暖かくなっても症状が改善しない場合や、手指の皮膚に硬化があったり、微少な出血斑がある、レイノー症状(寒冷刺激で指が白くなったり紫になったりする)がある場合には1度血液検査をしてみるのも良いかと思います。
実際、当院にしもやけを主訴に来られた患者様で強皮症が判明し、専門医へ紹介したケースもあります。幸い重度の合併症はなく、現在も元気に過ごしてらっしゃいます。
しもやけの治療について
しもやけの治療は、外用薬・内服薬いずれもあります。
外用薬
- ビタミンE、A製剤(ユベラ軟膏®︎)
- ヘパリン類似物質(ヒルドイドソフト軟膏®︎)
これらを1日2〜3回外用しながらマッサージをします。
内服薬
- コフェロール酢酸エステル(ユベラ錠®︎)50mg3〜6錠 分3毎食後
- ツムラ当帰四逆加呉茱萸生姜湯エキス顆粒医療用 5g 分3毎食前
当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)は、めちゃめちゃ長い名前の漢方薬で、かなり苦いと言われています。冷えが強い場合には、これに附子末を1〜1.5gから加え、その後0.5〜1gずつ増やしながら処方する場合もあります。増やしすぎると手足がビリビリするので、それが無い程度の量でコントロールしていきます。
おまけ〜冬の風物詩〜
話は変わりますが、寒い冬は干し柿の季節です。
とある患者様が、「珍しいものを作ったから食べてみて」と、こんな物をくださいました。
干し柿・・・の中にたっぷりの栗餡が入っています。
・・・・激ウマです・・・。
商品化してほしいぐらいです。
さいごに
以上、今日はしもやけの話でした。
市販薬ではなかなか治らないしもやけで悩んでいる方、「このぐらいで病院に行くのはちょっと」と思っている方。
意外と病院で出来ることも色々ありますので、参考にしていただけると幸いです。
<参考文献>
・「あたらしい皮膚科学」 清水 宏 著
・ 今日の診療サポート「凍瘡」
・「スーパー☆ジェネラリストに必要なモダン・カンポウ」
樫尾 明彦 / 新見正則 著