以前、3歳の大腿骨頸部骨折を診察する機会がありました。
高齢者の大腿骨頸部骨折は骨粗鬆症における三大骨折の一つですが、小児の大腿骨頸部骨折はかなり稀で、小児の骨折の中でも1%以下と小児整形外科医でなければなかなか出会うことのない疾患だと思います。
整形外科の中でもマイナーではありますが、
今回小児骨折について勉強したことについて少しまとめたいと思います。
小児大腿骨骨折の分類
小児の骨折は主に
Delbet-Colonna分類を用いられます。
Type1
骨端線より近位での骨折で、高エネルギー外傷で多いです。
大腿骨頸部骨頭壊死はほぼ必発です。
ただ、3歳以下なら骨頭壊死を回避する可能性が少し高いです。
Type2・Type3
大腿骨頸基部骨折・頸部骨折にあたります。
Type1と比較すると骨頭壊死の可能性は低いですが、それでも骨頭壊死の可能性は十分考えられます。
Type4
大腿骨骨頭壊死の可能性は治療法によって変わりますが、約20%まで低下します。
他の骨折型に比べると保存治療を行いやすいです。
ただ、他の症例と比べると内反股になりやすいから注意が必要です。
今回の症例は保存治療で可動域や活動性・疼痛いずれも問題なく骨癒合が得られました。ただ多少の後捻変形が残存しました。
子どもの保存治療は安静の理解を得られないところが難しいですね。
治療に関しては、それぞれの骨折型で異なります。
全部に共通して大事といえることは
・早期の整復かつ整復位が保持できること
早期に整復してあげることで骨頭の阻血時間を減らしてあげます。また、整復位が損失しそうな不安定性がある場合は迷わず内固定をすべきです。
・関節内圧が高くなりすぎないように注意する
骨折型によっては、関節内に血液が貯留し、骨頭を圧迫してしまうことがあります。股関節内圧が高くなるような場合には血腫除去が必要です。
・合併症のチェックを怠らない
主な合併症の例として、骨頭壊死と内反股の画像です。
以上、簡単ですが小児大腿骨頸部骨折でした。
日常の診療は良くみる疾患が基本的に多いですが、たまにこういう一般医が一生に1回出会うか出会わないかの頻度の疾患に出会うことがあります。いつまでも勉強しなければですね。
あとはこの子が成長の過程で問題がないことを祈るばかりです。