今年のインフルエンザワクチン、不足が叫ばれて久しいですよね。
当院は僻地の小さな診療所ですので、残念ながら早い時期から在庫がなくなりました。次の入荷の目処は立っていません。
今日は、インフルエンザワクチンの基礎についてまとめたいと思います。
一般的な内容になるかとは思いますが、意外と知られていないインフルエンザワクチンの有効率についても触れます。
- インフルエンザワクチンはA型B型もカバーしている
- インフルエンザワクチンの効果的な接種時期はいつか
- インフルエンザに対するワクチンの効果はどのくらいか
- インフルエンザワクチンを積極的に接種すべき人とは?
- さいごに
インフルエンザワクチンはA型B型もカバーしている
2015/2016年シーズンから、インフルエンザのワクチンは4価となっています。内容としては、
- A/H1N1亜型
- A/H3N2亜型
- B型(山形系統)
- B型(ビクトリア系統)
となっています。
例年、WHOの専門家会議においてインフルエンザワクチンの推奨株が毎年2回(北半球用・南半球用)制定されます。
2017/2018シーズンにおいては
A/Singapore(シンガポール)/GP1908/2015(IVR-180)(H1N1)pdm09
A/Hong Kong(香港) /4801/2014(X-263)(H3N2)
B/Phuket(プーケット)/3073/2013(山形系統)
B/Texas(テキサス)/2/2013(ビクトリア系統)
といった内容で接種されています。
インフルエンザワクチンの効果的な接種時期はいつか
季節性のインフルエンザは日本においては12月末〜3月ごろに流行するのが一般的なので(10月ごろから出たりもしますが・・・)、遅くとも12月中旬までに接種を終わらせることが望ましいとされています。
2回接種の場合は10月と11月に1回ずつ、あるいは11月の始めと終わりに1回ずつとするなどの接種が良いと思われます。
ワクチンの予防効果が期待できるのはおおよそ、接種後2週間〜5ヶ月程度と考えられています。
インフルエンザに対するワクチンの効果はどのくらいか
インフルエンザに対するワクチンの有効率ですが、成人であれば、総じて70〜80%(60%との報告もあります)、就学前の小児では20〜30%程度と言われています。
「インフルエンザワクチンを打てば、インフルエンザにかからない」訳ではありません。たとえワクチン接種を受けた人であってもインフルエンザウイルスに感染・発病することは十分にありえます。
インフルエンザワクチンを積極的に接種すべき人とは?
- 65歳以上の高齢者
- 60〜65歳未満で、心臓・腎臓・呼吸器の機能不全があり日常生活動作が極端に制限される程度の障害を有する人
- ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能不全状態があり日常生活が制限される人
- 基礎疾患を有する人(気管支喘息等の呼吸器疾患、慢性心不全、先天性心疾患等の循環器疾患、糖尿病、腎不全、免疫不全者)
上記に挙げる人は、インフルエンザに罹患すると重症化の恐れがあるので接種が望ましいとされています。
また、
- インフルエンザに対するハイリスク者の同居者やお世話をする人
- 医療従事者
においてもワクチン接種は勧められるとされています。
さいごに
もう接種した人も、これから接種しようと思っている人も、
「周りが打っているから自分も打つ」「不足不足と言われているから自分も打つ」
と流されて打つのではなく、予防できる確率はどのくらいなのか、予防接種をする意義が自分にとってはどのくらいあるのか、きちんと把握した上で接種するかしないか判断しては如何かなと思います。
<参考文献>
・予防接種に関するQ&A集 2017年版 一般社団法人 日本ワクチン産業協会
・NIID 国立感染症研究所
https://www.niid.go.jp/niid/ja/flu-m/flutoppage/2066-idsc/related/584-atpcs002.html
インフルエンザの予防についてはこちらの記事もご参照ください。